2026年度第4回連続講座
10月13日(火)、新渡戸遠友リビングラボ建設・運営支援「連続講座」を開催しました。
今回の講師は、北海道大学名誉教授で北海道ポーランド文化協会会長の安藤厚氏。
演題は、
「日本とポーランド〜新渡戸稲造の著作を中心に〜」
〜『武士道』、『偉人群像』等を中心に日波交流史の一コマを紹介〜
です。

当日は一般23名、道民カレッジ生2名の計25名の皆様にご参加いただきました。
13時30分から15時40分まで、新渡戸稲造とポーランドの交流の歴史について、さまざまな資料をもとに詳しくお話しいただきました。
新渡戸稲造が関心を寄せたポーランドの歴史
新渡戸稲造はドイツ留学中にポーランドの歴史について学びました。
当時のポーランドは周辺諸国による支配をたびたび経験してきた国でした。
新渡戸は、こうしたポーランドの悲しい歴史を知り、深い同情を寄せていたといいます。
その後、新渡戸は後藤新平とともに、『クオ・ヴァディス』で知られるポーランドの作家シェンキェヴィチを訪問しました。
また、国際連盟事務次長を務めていた時期には、公務で何度もポーランドを訪れています。
その際には、ポーランドの政治家であるピウスツキ、パデレフスキ、ドモフスキらとも会談しました。
新渡戸稲造が、国際的な活動を通してポーランドのさまざまな人物と交流していたことが紹介されました。
キュリー夫人との交流と『偉人群像』
新渡戸稲造とポーランドの関係を考えるうえで、特に興味深いのがキュリー夫人との交流です。
新渡戸は国際連盟で知的協力委員会の活動に関わり、ポーランド出身のキュリー夫人を委員として迎え、何度も語り合う機会を持ちました。
知的協力委員会は、後のユネスコにつながる国際的な知的交流の取り組みです。
新渡戸は、こうしたキュリー夫人との交流について、1931年刊行の著書『偉人群像』に記しています。
『偉人群像』には、新渡戸が実際に出会った世界の著名人たちとの交流が描かれており、国際人としての新渡戸の活動を知ることができます。
今回の講座では、こうした著作を手がかりに、新渡戸とポーランドとのつながりについて詳しく解説していただきました。

『武士道』は1904年にポーランド語に翻訳されていた!
新渡戸稲造の代表作『武士道』も、ポーランドとの交流を考えるうえで重要な著作です。
『武士道』は1904年、ドイツ語版からポーランド語に翻訳されました。

新渡戸はそのポーランド語版に、特別な序文を寄せています。
その序文は、論語の有名な一節、
「有朋自遠方来、不亦楽乎」
(朋あり遠方より来たる、また楽しからずや)
という言葉から始まります。
遠く離れた国の人々が自分の著作を読んでくれることへの喜びが感じられる言葉です。
この序文は、後に1907年刊行の『随想録』に和訳されて収録されています。
『武士道』が世界各国で読まれてきたことはよく知られていますが、ポーランドでも早い時期から紹介されていたことを学ぶ機会となりました。
ポーランドから見た新渡戸稲造の姿
今回の講座では、ポーランド側から見た新渡戸稲造についても紹介されました。
日本文化研究者であり、2008年から2012年まで駐日ポーランド大使を務めたチェホフスカ氏は、2025年に『新渡戸稲造―東洋と西洋の架け橋』という著書を刊行しています。
この本では、新渡戸稲造とポーランドの交流について詳しく取り上げられています。
新渡戸が東洋と西洋をつなぐ人物として、ポーランドでも注目されていることがうかがえます。
また、1920年から1922年にかけて日本が行った「ポーランド・シベリア孤児救済事業」についてもお話がありました。
日本がポーランドの孤児たちを救済したこの取り組みに対し、ポーランドでは現在も感謝の思いが受け継がれているとのことでした。
新渡戸稲造の活動だけでなく、日本とポーランドの間に長年にわたる交流の歴史があることを改めて知ることができました。
新渡戸稲造の国際交流から学ぶ
今回の連続講座では、『武士道』や『偉人群像』などの著作を通して、新渡戸稲造とポーランドの交流について学びました。
ドイツ留学中にポーランドの歴史を知ったことから始まり、国際連盟での活動や著作の翻訳、さらにはポーランドの知識人や政治家たちとの交流へとつながっていった新渡戸の歩み。
新渡戸稲造が、国や文化の違いを越えて人々とのつながりを大切にしていたことを知る、示唆に富む講座となりました。
貴重なお話をしてくださった安藤厚氏、そしてご参加いただいた25名の皆様に心より感謝申し上げます。
なお、今回の講演の詳しい内容については、北海道ポーランド文化協会のホームページに講演の完全原稿、レジュメ、パワーポイント画面が掲載される予定です。
ぜひ、そちらもご覧ください。

次回の連続講座のご案内
次回の新渡戸遠友リビングラボ建設・運営支援「連続講座」は11月10日(火)に開催します。
今回の講師は、元日本地下水学会代議員・編集委員、APECエンジニア(Civil)の池田光良氏です。
演題は、
「ゲーテ的視点に立った土木及び海外地下水の調査例」
〜広域地下水調査を例にデカルト的論点以上にゲーテ的視点の重要性を示す〜
です。
広域地下水調査を題材に、土木や海外地下水の調査において、デカルト的な論点だけでなく、ゲーテ的視点から物事を捉えることの重要性についてお話しいただきます。
地下水の調査や自然環境への理解を深めるとともに、物事を多角的に捉える視点について考える機会となります。
皆様お誘い合わせのうえ、ぜひご参加ください。
- 場所: 愛生舘サロン(札幌市中央区南1 条西5 丁目8 番地 愛生舘ビル6階)
- 時間: 13 時半〜15 時半(開場13 時)
- 費用:一般 1,000円 道民カレッジ生・学生・高校生 500 円
- 全講座予約不要










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