新渡戸が愛した古歌の世界へふたたび
12月9日(火)、今年最後となる新渡戸遠友リビングラボ連続講座を開催しました。
今回の講師は北海学園大学豊平会常任幹事であり、本会活動委員でもある村口康博さん。

会場には17名(一般15名・道民カレッジ生2名)が集まりました。
『世渡りの道』にちりばめられた言葉の珠玉
今回の講演は、前回に続くシリーズ第2弾として、新渡戸稲造が著書『世渡りの道』の中で引用した数々の古歌や名言をたどるものでした。
村口氏は、引用されている何十首もの中から、特に意味の深い、感動的な歌を抜粋し、作品の背景や表現の妙をじっくりと解説してくださいました。

紹介された主な歌・言葉
- 見る人の心ごころにまかせおきて
高嶺に澄める秋の夜の月
(鈴木弘恭作) - 映るとは月も思はずうつすとは
水も思わぬ広沢の池
(塚原卜伝、柳生宗厳作) - 徳孤ならず必ず隣あり
(『論語』里仁篇より)
徳を行う者には、必ず理解者と助力者が集まるという意。 - ドイツの詩人ウーランドによる、
二人の親友の死を悼む詩「渡し場」
(新渡戸が日本に紹介した詩。文庫版386〜389頁参照)
いずれも、新渡戸が人生の支えとしていた詩歌であり、その思想の一端を垣間見ることができるものばかりでした。
知性と感性が響き合うひととき
村口氏の落ち着いた語り口と詳細な説明に、参加者は深くうなずきながら耳を傾け、新渡戸の教養の深さと古典への愛情にあらためて感銘を受けていました。
「これほどまで多くの古歌を新渡戸が味わっていたとは」
「歌の一つひとつに心が揺さぶられた」
といった感想も寄せられ、年末にふさわしい心温まる講座となりました。

講演資料について
当日の講座で使用されたレジュメ(資料)をご希望の方には、1部50円でお分けしています。
ご希望の方は、三上までお申し出ください。
次回講座のご案内(2026年1月)
次回の連続講座は2026年1月13日13:30-開催です。
- 日時: 2026年1月13日(火)
開場13:00/開演13:30 - 場所: 愛生舘サロン
- 講師: 三上章氏(元東洋女学院大学教授、元北星学園大学チャプレン)
- 演題: 「クエーカーの元祖ジョージ・フォックスの宗教哲学」
〜ソクラテス、イエス、ブッダ、道元に照らして〜
本講座のご案内は、1月9日(金)付の北海道新聞「さっぽろ10区」**にも掲載予定です。
新年最初の学びのひとときに、どうぞ皆さまお誘い合わせのうえご参加ください。









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